
カナダの国旗
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「カナダの位置マップ 2」は、MapGrid によって作成され、CC BY-SA 4.0 ライセンスの対象となっています .
カナダ(Canada/CAN) |
正式 | Canada | 首都 | オタワ |
人口 | 4,010万人 | 面積 | 998.5万平方km(日本の約27倍・世界第2位) |
言語 | 英語・フランス語 | 通貨 | カナダ・ドル |

縦横比 1:2

国章(※1)

赤は右側が『大西洋』・左側が『太平洋』を象徴します。

白は『雪のイメージ』を象徴するよ。

楓は『カナダのトレンドマーク』を象徴するよ。また、カエデの12本の棘はカナダの『10州』と『2準州』を象徴するよ。
カナダは元々イギリスの植民地であり、1867年にいくつかの植民地を統合して自治権を獲得します。1931年には無事に独立を果たしました。
そんなカナダですがおよそ100年近く、カナダらしい国旗は使用されず、イギリス色の強い国旗『レッド・エンサイン』を使い続けた過去を持ちます。
通称”メープルリーフ旗(The Maple Leaf Flag)・一葉旗(L’Unifolié)”と呼ばれる、国旗中央に『カエデの葉(品種:サトウカエデ)』が描かれたカナダの国旗。
「シンプルで印象に残りやすい」デザインの完成までの道のりは、長く険しいものだったのです。
今回はそんなカナダの国旗にまつわる『歴史』とトレンドマークである『カエデ』の関係性について語っていこうと思います。
国名『カナダ』の由来は先住民の言葉である『カナタ』から…。カナタは自分たちの住む「集落」を指す言葉だったんだけど、フランスの探検家が地域全体を指す言葉だと勘違いしたことが始まりなんだよ…。
『カエデ』と『カナダ』の関係性

カナダといえば、『カエデ』が国の象徴として有名です。当国には10種類以上のカエデが自生しており、ケベック州・オンタリオ州に広がる広大なカエデ林の紅葉は世界的に有名な絶景を生み出すことで知られています。
また、カエデの樹液から作られる『メープルシロップ』の世界最大の生産国であり、世界シェア率72%を誇っています。
カナダの『カエデ』エピソードには、以下のようなものがあります。
当時、イギリス領であったカナダで、イギリスの皇族がイングランドの象徴でもあるバラを身にまとってカナダを訪問しました。その際にカナダ人も何かしら象徴的なものを身にまとう必要があったようなのですが、その時にカエデ(メープルリーフ)が選ばれたようです。
【引用元URL】https://www.lieugaksquare.com/ca/info/flag.php
この話は19世紀中頃のもので、この時期からすでに『カエデ』はカナダのイメージとして使用されていました。また、19世紀後半に入ると軍服や紀章、貨幣などにもカエデのモチーフが使われ始め、徐々に国全体の象徴につながっていきます。
第一次世界大戦中、カナダ兵の制服には『カエデの葉』のバッジが付けられており、カナダ兵の誇りの象徴として世界的に認知されていました。
なぜ『カエデ』と『カナダ』にはこのような深い関係性があるのでしょうか?
それは『カエデ』は『カナダ人』にとって普遍的な存在(全国に自生する植物)であり、伝統的な植物であることが理由に挙げられます。
カナダの各州には1種類以上のカエデが自生しており、カエデ林も至る所に点在します。『イヌイット』と呼ばれるカナダに住む先住民族は、食べ物がない冬の間、カエデの樹液をすすって飢えを凌いだそうです。現代に伝わる『メープルシロップ』制作方法も彼ら先住民の知恵の一部なんだとか。
『カエデ』は『カナダ』にとって暮らしの中の一部であり、人と植物が共存してきた証でもあるのです。
※国旗中央に描かれている葉っぱは『サトウカエデ』と呼ばれる品種のもの。メープルシロップ作りに向いており、カナダでは重宝されている。
カナダ国旗の遷移・歴史
現行のカナダの国旗が初めて使用されたのは1965年2月15日の出来事。それまでは『レッド・エンサイン』と呼ばれる、イギリスの商船旗にカナダの紋章を加えた赤地の旗【左上(カントン部)にイギリス国旗・通称”ユニオンジャック”を使用】が利用されていました。

1957年から1965年までのカナダの国旗
※右側の紋章は時代により差異がある
カナダは1867年にイギリスからの自治を得たのにも関わらず、長年本国らしい旗を使用してこなかったのです。
第二次世界大戦の終結(1945年)を機に「カナダは独立国家としてふさわしい国旗を持つべきだ」という世論が高まります。それに伴い、カナダ議会は新しい国旗のデザインを検討する特別委員会を設置。
1964年に入ると『レスター・B・ピアソン首相』率いる国会が開かれ、3枚の国旗デザイン候補から激しい選考会議が行われました。
その結果、現行のカナダ国旗のデザインが採用。イギリス女王『エリザベス2世』により細かい修正がされた後、1965年2月15日正午に首都オタワの国会議事堂に正式に掲げられました。
この2月15日は『カナダ国旗の日』として現在でも親しまれています。
ちなみに、『赤・白』はカナダのナショナルカラーです。1921年にイギリス王『ジョージ5世』によって制定されました。
この色は、『イギリスの伝統的な色(赤)』と『フランスの王家の色(白)』の調和の象徴とも言われています。
元々カナダはフランス領だったんよ。18世紀末に起きた戦争にフランスがイギリスに負けてからカナダは英軍の支配下になったんだよね。でも現在カナダ在住フランス人の名残が色濃く残る地域が存在してるんよね。
- ピアソン・ペナント(1964年)
- カナダの第14代首相『レスター・B・ピアソン』。彼は新国旗の制定を政権公約に掲げ、彼自身も『ピアソン・ペナント』という新デザインを発表し、国旗選考会に臨みました。
中央に3枚の赤いカエデの葉・両端に青い帯・白い背景が特徴。

- 全国公募デザイン(1946年)
- カナダ国旗の議論は1965年以前から存在しており、1946年に行われた、新国旗デザイン案・全国国民公募もその1つと言えるでしょう。2600以上にもなる公募が集まりましたが、残念ながら採用は見送られ国旗制定には至りませんでした。

カエデとカナダメープルシロップ
『メープルシロップ』とは、サトウカエデなどの樹液(メープルウォーター)を煮詰めて作る天然甘味料のことです。パンケーキやワッフルにかけたり、ヨーグルトやクレープなど様々な料理のアクセントとして使用できます。
世界シェアの約70%以上がカナダ産(そのうち90%以上はケベック州)であり、生産は2月末〜4月末の春先をシーズンに行われます。19世紀中頃には『シュガーシャック』と呼ばれる煮詰め小屋が登場し、メープルシロップ集めはカナダの農村の春の恒例行事になったそうだとか。
メープルシロップの起源は北米先住民の文化に遡ります。彼らはカエデの樹液を煮詰めて『メープルシュガー(メープルシロップをさらに煮詰め水分を飛ばし、固形化したもの)』として利用していました。木に切れ込みを入れ、器に樹液を集めていたと伝えられています。カナダの寒冷な春の気候がメープルシロップ作りに最適だったのです。
ちなみに、メープルシュガーを型に流して固めた「メープルリーフ型のキャンディ」はカナダのお土産の定番です。
メープルシロップの製造方法
- 1.『樹液集め』
- ”サトウカエデ”等の樹木に穴を開け、採取口を取り付けます。そこへバケツやポンプを取り付けて、メープルウォーターを集める準備を始めましょう。
この際、樹齢40年以上の成木が安定してメープルウォーターが出てくるのでオススメです。

- 2.『煮詰め作業』
- 樹液(メープルウォーター)の糖度が66%以上になるまで大釜でじっくり煮込みましょう。樹液のほとんどは水分で、最終的に残るのは40Lあれば1L(約40分の1)のみとなります。
残った液体はあま〜く黄金色をしているでしょう。
- 3.『ろ過・瓶詰め』
- フィルターで『砂糖砂(シュガーサンド)』と呼ばれる結晶成分を取り除いたら完成!
完成したメープルシロップは美しい琥珀色になります。
熱い状態(80度前後)で無菌瓶に詰め密封。その後、冷暗所に保管すれば長期保存が可能です。(未開封で1〜2年程)。

【参考動画:HelloLilly氏】
庭でメープルシロップ作ってみた!|Making Maple Syrup in My Backyard!
メープルシロップのグレード

「バーモント メープル シロップ」は、rasdourian によって、CC BY 2.0 ライセンスの下で使用されています .
カナダのオンタリオ州(カナダの南東部に位置)で販売されるメープルシロップは全てがグレード(等級)分けされています。色合いと風味の強さによって分類されており、現在はカナダとアメリカで統一された国際基準が採用されているんだとか。
黄金色に近いほど、軽やかで繊細な風味。濃い色になるほど重厚で強い味わいになります。
お腹が減ってくるにゃね…(じゅるり)。
【Canada・No.1】
Extra Light(エキストラ・ライト):《風味:非常に繊細》
Light(ライト):《繊細》
Medium(ミィディアム):《独特》
※左の英文字はカラークラスを表します
【Canada・No.2】
Amber(アンバー):《風味:より強い》
Ontario Amber(オンタリオアンバー):《同上》
・(出典:オンタリオ・メープルシロップ生産者協会(Ontario Maple Syrup Producers’ Association)ウェブサイト:https://web.archive.org/web/20100906233915/http://www.ontariomaple.com/fact-finding/pure-maple-syrup.html)
脚色
参考
・ケベック・メープルシロップ生産者協会:https://maplefromcanada.jp/info
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